Tel : 011-280-7777

月火木金 9:00-13:00/14:00-17:00 水 9:00-13:00 土日・祝祭日 休診

診療時間
札幌大通リウマチ内科の診療内容について Medical Service

カテゴリ:リウマチ科

乾癬性関節炎(関節症性乾癬)とは?症状・関節リウマチとの違い・何科・生物学的製剤の治療を日本リウマチ学会リウマチ専門医が解説

乾癬(かんせん)がある方で、指や足の関節、かかと、腰などが腫れたり痛んだりするときは、「乾癬性関節炎(かんせんせいかんせつえん)」の可能性があります。「関節症性乾癬」とも呼ばれる同じ病気で、日本リウマチ学会の一般向け解説では、乾癬の方の10〜15%に起こるとされています。治療が遅れると関節の傷みが進むことがあるため、関節の症状に気づいたら早めにリウマチ科で診断を受けることが大切です。この記事では、症状、関節リウマチとの違い、何科を受診すればよいか、治療の選択肢を、日本リウマチ学会 リウマチ専門医が解説します。

札幌市中央区の当院(地下鉄大通駅から徒歩1分)では、日本リウマチ学会 リウマチ専門医が診察・血液検査・X線検査で診断し、飲み薬から生物学的製剤(注射)まで治療を行っています。皮膚科で乾癬と診断され、その皮膚科では生物学的製剤を使えない方の治療も行っています。

乾癬性関節炎とは

結論:乾癬性関節炎は、皮膚の病気である乾癬に伴って、関節や、腱・靱帯が骨に付く部分に炎症が起こる病気です。

乾癬は、皮膚が赤く盛り上がり、表面に白い粉のようなかさぶた(鱗屑)がつく病気です。免疫の働きの乱れによって起こり、人にうつる病気ではありません。乾癬のある方の一部で、同じ免疫の乱れが関節にも及ぶのが乾癬性関節炎です。

乾癬の皮膚:赤く盛り上がり、表面に白いかさぶた(鱗屑)がつく

  • 呼び方:乾癬性関節炎(PsA)は「関節症性乾癬」とも呼ばれ、同じ病気を指します。
  • 頻度:乾癬の方の10〜15%に起こるとされ、30〜50歳代に多く、男女差はほぼありません(日本リウマチ学会)。
  • 順番:約7〜8割の方は皮膚の乾癬が先にあり、何年もたってから関節の症状が出ます。関節の症状が先に出る方も約1割いて、皮膚と同時に出る方もいます(日本皮膚科学会 乾癬性関節炎診療ガイドライン2019)。
  • 皮膚の症状が軽くても起こる:皮膚の乾癬が軽くても関節炎が起こることがあります。頭皮や髪の生え際、おへそ、おしりの割れ目、爪など、目立たない場所の乾癬が手がかりになることもあります。

主な症状:関節だけでなく、かかと・腰・爪にも

結論:関節の腫れや痛みに加えて、指全体の腫れ、かかとの痛み、腰の痛み、爪の変化が代表的な症状です。

  • 関節の腫れ・痛み:手足のさまざまな関節が腫れたり痛んだりします。指の第1関節(指先にいちばん近い関節)に炎症が起こることは特徴の一つですが、第2関節、指の付け根、手首、ひざ、足首などにも起こります。左右非対称のことも、左右対称のこともあります。
  • 指全体の腫れ(指炎):手や足の指が、1本まるごとソーセージのように腫れます。
  • 腱や靱帯の付け根の痛み(付着部炎):アキレス腱の付け根(かかと)、足の裏、ひざのお皿の下などが痛みます。
  • 腰や背中の痛み:背骨や骨盤の関節(仙腸関節)に炎症が起こり、腰痛が出ることがあります。
  • 爪の変化:爪の小さなへこみ、爪の先がはがれる、厚く濁るといった変化です。爪の変化がある指は、関節炎が起きやすいことが知られています。

「指が1本だけ太くなった気がする」「使いすぎた覚えがないのに、かかとや足の裏が痛む」といった症状も、乾癬があれば関節炎を疑うきっかけになります。

乾癬性関節炎で症状が出やすい場所:手首、手の指の関節(第1関節・第2関節など)、爪の変化、ひざ・足首などの大きな関節、足の指(指全体が腫れる指炎)、背中・腰(背骨)、骨盤の関節(仙腸関節)、かかと・足の裏(アキレス腱の付け根など)。出る場所や組み合わせは人によって違う

関節リウマチ・ヘバーデン結節との違い

結論:見た目や血液検査だけでは見分けられないことがあり、最終的には診察と検査の結果を合わせて判断します。手がかりになるのは、乾癬性関節炎では皮膚や爪の乾癬があること、指全体の腫れや第1関節の炎症、かかとの痛みが起こりやすいこと、リウマトイド因子などの血液検査が通常は陰性であることです。

項目 乾癬性関節炎 関節リウマチ
皮膚・爪の乾癬 あることが多い 通常はない
指全体の腫れ 起こりやすい(指炎) まれ
第1関節の炎症 起こりやすい まれ(第2関節・指の付け根・手首が中心)
かかと・腱の付け根 痛むことが多い まれ
腰・背中の痛み 起こることがある まれ
リウマトイド因子・抗CCP抗体 通常は陰性 陽性が多い(陰性の方もいる)

左右対称かどうかでは見分けられません。また、中高年の女性に多いヘバーデン結節(第1関節の変形性関節症)は、第1関節が硬いコブのように太くなるのが特徴で、乾癬性関節炎や関節リウマチと同じ人に重なることもあります。第1関節の腫れの見分け方は、指の第1関節が腫れて痛いのは何科?で詳しく解説しています。

何科を受診する?受診の目安

結論:関節の症状はリウマチ科(リウマチ専門医)、皮膚の症状は皮膚科が専門です。両方にかかりながら治療を進めることもできます。

  • リウマチ科:関節炎かどうかの診断と、関節の治療(飲み薬・生物学的製剤)を行います。
  • 皮膚科:皮膚の乾癬の診断と治療(塗り薬・光線療法・飲み薬・生物学的製剤)を行います。

乾癬があり、次のような状態が続く場合は、リウマチ科を受診してください。

  • 関節の腫れや痛みが3週間以上続いている
  • 指が1本まるごと腫れている(期間にかかわらず早めに)
  • かかと、足の裏、腰などの痛みが3週間以上続いている
  • 爪の変化がある指の関節が痛む

急に関節が赤く強く腫れた場合や、発熱を伴う場合は、感染症などほかの病気の確認が必要なため、様子を見ずに速やかに医療機関を受診してください。

早めの受診をおすすめする理由は、関節の傷みが早い時期から進むことがあるためです。生物学的製剤が広く使われる前に早期の乾癬性関節炎の方を約2年追った研究(Kane ら, 2003年)では、47%に手や足の骨のびらん(関節の傷み)が見られました。また、関節の症状が出てからリウマチ専門医の受診まで6か月以上かかった方は、6か月以内に受診した方に比べて、骨のびらんが多く、日常生活の動作も不自由になりやすい傾向があったと報告されています(Haroon ら, 2015年)。進み方は人によって異なり、これらの結果をそのまま一人ひとりに当てはめることはできませんが、早めの受診が大切な理由の一つです。

皮膚科に通院中の方は、関節の症状を主治医にも伝えてください。紹介状があると経過が分かりやすくなりますが、当院は紹介状がなくても受診できます。

検査と診断

結論:診察、血液検査、必要に応じてX線検査の結果を合わせて診断します。

乾癬性関節炎に特有の血液検査はありません。血液検査では炎症の程度を調べるとともに、リウマトイド因子や抗CCP抗体を測り、関節リウマチなど他の病気と見分ける手がかりにします。X線検査では、骨の変化や関節の傷み具合を確認します。早い時期には、血液検査やX線検査に異常が出ないこともあるため、症状の経過と診察の所見を合わせて判断し、必要に応じて経過を見ながら確かめます。

国際的な分類基準(CASPAR)は、関節・背骨・腱の付け根のいずれかに炎症があることを前提に、乾癬(いま・過去・家族)、爪の変化、指炎、リウマトイド因子が陰性であること、X線で見える骨の変化などを評価する基準です。診断の参考になりますが、この基準だけで診断するものではありません。皮膚の乾癬がはっきりしない方でも、家族に乾癬の方がいれば手がかりになります。

治療:飲み薬から生物学的製剤まで

結論:治療の目標は、炎症を抑えて関節が壊れるのを防ぐことです。症状の出ている場所と強さに合わせて薬を選びます。

  • 痛み止め(消炎鎮痛薬):痛みや腫れを和らげます。症状が軽い場合や、ほかの治療と組み合わせて使います。
  • 飲み薬:メトトレキサートなどの抗リウマチ薬や、一部のJAK阻害薬があります。
  • 生物学的製剤(注射・点滴):炎症を起こす物質(TNF、IL-17、IL-23 など)の働きを抑える薬です。関節と皮膚の両方の症状に効果が期待できるものが多く、多くは自宅で自分で注射できます。

国際的な治療指針(GRAPPA・EULAR)でも、関節炎の強さ、指炎や付着部炎の有無、背骨の症状、皮膚や爪の状態を合わせて薬を選ぶことが勧められています。

生物学的製剤やJAK阻害薬を始める前には、結核やB型肝炎などの感染症の検査を行い、治療中も感染症に気をつけながら定期的に診察します。薬の費用は種類や使う間隔で大きく変わり、高額療養費制度の対象になることもあります。費用の目安は診察の際にご説明します。

皮膚の塗り薬や光線療法を皮膚科で続けながら、関節の治療を当院で行うこともできます。

皮膚の症状だけの乾癬の方へ(生物学的製剤)

結論:皮膚科で乾癬と診断された方で、その皮膚科では生物学的製剤を使えない場合に、当院で生物学的製剤による治療を行っています。

生物学的製剤は、乾癬の皮膚の症状にも使われる薬です。皮膚の症状だけの乾癬の方には、まず皮膚科で乾癬の診断を受けていただくことを大切にしています。

  • 皮膚科をまだ受診していない方:先に皮膚科の受診をおすすめしています。
  • 皮膚科で乾癬と診断され、その皮膚科では生物学的製剤を使えない方:当院で生物学的製剤による治療を行います。関節炎が隠れていないかも合わせて確かめます。
  • 関節の痛みや腫れもある方:乾癬性関節炎の診断と治療を当院で行います(上の「何科を受診する?」をご覧ください)。

なお、当院では塗り薬だけによる治療は行っていません。塗り薬で治療を続けたい方は、皮膚科の受診をおすすめします。

当院でできること(札幌市中央区・大通駅)

結論:日本リウマチ学会 リウマチ専門医が、診断から生物学的製剤の導入・継続まで、ひとつのクリニックで行います。

  • 院長は日本リウマチ学会 リウマチ専門医です。
  • 診察・血液検査・X線検査で、乾癬性関節炎かどうか、ほかの病気ではないかを確かめます。
  • 飲み薬から生物学的製剤まで、症状と生活に合わせて治療を選びます。自己注射の方法もご説明します。
  • 完全予約制で、待合室を使わずに診察室へご案内する「診察室予約」です。当日の予約もお受けしています。

札幌大通リウマチ内科
所在地:札幌市中央区南1条西3丁目8 エムズ札幌ビル5階(地下鉄大通駅から徒歩1分)
診療時間:月・火・木・金 9:00〜13:00/14:00〜17:00、水 9:00〜13:00(土・日・祝日は休診)
電話:011-280-7777

よくある質問

Q. 乾癬性関節炎と関節症性乾癬は違う病気ですか?

A. 同じ病気です。乾癬性関節炎は「関節症性乾癬」とも呼ばれ、どちらも乾癬に伴って関節や腱の付け根に炎症が起こる病気を指します。

Q. 皮膚科に通院中です。関節が痛いときはどうすればよいですか?

A. 皮膚科の主治医に関節の症状を伝え、リウマチ科も受診してください。皮膚の治療は皮膚科で続けながら、関節の診断と治療をリウマチ科で行うことができます。

Q. 血液検査でリウマチの数値が陰性でした。関節の病気ではないのですか?

A. そうとは限りません。乾癬性関節炎ではリウマトイド因子や抗CCP抗体は通常陰性で、特有の血液検査もありません。関節の腫れや痛みが続く場合は、診察とX線検査を合わせて判断します。

Q. 生物学的製剤は自分で注射するのですか?

A. 多くの薬は、自宅で自分で注射できます(ペン型の注射器など)。薬によっては通院して注射や点滴を受けるものもあります。始める前に感染症の検査を行い、注射の方法もご説明します。

Q. 関節の症状がなく、皮膚だけの乾癬でも生物学的製剤を使うことはありますか?

A. あります。皮膚の乾癬に使える生物学的製剤があり、皮膚の症状の程度、これまでの治療、合併症、薬ごとの使用条件などを確かめて使うかどうかを判断します。皮膚の症状だけの場合は、まず皮膚科で乾癬の診断と治療の相談を受けるのが基本です。関節の痛みや腫れがあれば、合わせて医師に伝えてください。

まとめ

  • 乾癬性関節炎は、乾癬に伴って関節や腱の付け根に炎症が起こる病気。「関節症性乾癬」とも呼ばれる
  • 乾癬の方の10〜15%に起こる。皮膚の乾癬が軽くても起こることがある
  • 指全体の腫れ、第1関節の痛み、かかとや腰の痛み、爪の変化が手がかり。左右対称かどうかでは見分けられない
  • リウマトイド因子は通常陰性。診察・血液検査・X線検査を合わせて診断する
  • 治療は飲み薬から生物学的製剤まで。関節が壊れる前に炎症を抑えることが大切
  • 乾癬があって関節の腫れや痛みが3週間以上続いたら、リウマチ科へ

▶ 関連記事:指の第1関節が腫れて痛いのは何科?ヘバーデン結節・関節リウマチ・乾癬性関節炎の見分け方を日本リウマチ学会リウマチ専門医が解説

受診のご案内

札幌大通リウマチ内科は、地下鉄大通駅から徒歩1分のリウマチ専門クリニックです。乾癬があって関節が痛む方、皮膚科で乾癬と診断され、その皮膚科では生物学的製剤を使えない方のご相談をお受けしています。初診はネット予約(リウマチ科 初診)からお申し込みいただけます。お電話(011-280-7777)でも承ります。

→ 初診のネット予約はこちら

監修:札幌大通リウマチ内科 院長 澤向範文(医学博士・日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医)/最終更新:2026年9月

参考文献・出典

  • 日本リウマチ学会「乾癬性関節炎(PsA)」(一般の方向け・2022年5月更新) https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/kansenseikansetsuen/
  • 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「Q14 関節症性乾癬とは何ですか?」 https://qa.dermatol.or.jp/qa14/q14.html
  • 日本皮膚科学会 乾癬性関節炎診療ガイドライン作成委員会. 乾癬性関節炎診療ガイドライン2019. 日本皮膚科学会雑誌. 2019;129(13):2675-2733. https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/PsAgl2019.pdf
  • 日本皮膚科学会 乾癬分子標的薬安全性検討委員会. 乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス(2022年版). 日本皮膚科学会雑誌. 2022;132(10):2271-2296.
  • Taylor W, Gladman D, Helliwell P, et al. Classification criteria for psoriatic arthritis: development of new criteria from a large international study. Arthritis Rheum. 2006;54(8):2665-2673.
  • Kane D, Stafford L, Bresnihan B, FitzGerald O. A prospective, clinical and radiological study of early psoriatic arthritis: an early synovitis clinic experience. Rheumatology (Oxford). 2003;42(12):1460-1468.
  • Haroon M, Gallagher P, FitzGerald O. Diagnostic delay of more than 6 months contributes to poor radiographic and functional outcome in psoriatic arthritis. Ann Rheum Dis. 2015;74(6):1045-1050.
  • Coates LC, Soriano ER, Corp N, et al. Group for Research and Assessment of Psoriasis and Psoriatic Arthritis (GRAPPA): updated treatment recommendations for psoriatic arthritis 2021. Nat Rev Rheumatol. 2022;18(8):465-479.
  • Gossec L, Kerschbaumer A, Ferreira RJO, et al. EULAR recommendations for the management of psoriatic arthritis with pharmacological therapies: 2023 update. Ann Rheum Dis. 2024;83(6):706-719.


最新記事

カテゴリ